SARUYI


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ニッポンが嫉妬するJapan

 アーサー・ゴールデン氏の世界的ベストセラー小説、”Memoirs of a Geisha” を実写化した『SAYURI』がいよいよスクリーンに登場!そこで福岡在住の映画研究家ジョー・サイダー氏に12月10日に日米同時公開されるこの映画『SAYURI』について語ってもらった。

ベストセラーから壮観な超大作へ
 僕のような映画狂じゃなくても1997年アーサー・ゴールデン原作の映画『SAYURI』がスゴイってことはわかる。スイートな予告編からは今にも「オスカーを!」っと聞こえてきそう。32ヶ国語に翻訳され 400万部を売り上げたゴールデンの小説“Memoirs of a Geisha”は、日本の象徴、ミステリアスで誤解されがちな“芸者”を世界の“Geisha”に押し上げた。そしていよいよ待望の実写版『SAYURI』が、11月29日に両国国技館で行われるワールドプレミアを皮切りに世界中で上映される。映画の舞台は1929年の京都、花街。物語は幼いSAYURIがその貧しさ故に芸者屋に売られ奉公しながらも、たくましく優艶かつ聡明な芸者に成長して行く姿を描いているんだ。

<<この映画の見所とは?>>
きらびやかな共演者たち
 『SAYURI』は日本人女性を描いたアメリカの小説をハリウッドが映画化、撮影も日本、アメリカ両国で行ったという国際ビッグプロジェクトなんだ。ハリウッドの巨匠スティーブン・スピルバーグが総指揮、アカデミー賞6部門に輝いた『シカゴ』のロブ・マーシャルが監督を務め、またキャストも豪華な顔ぶれが…。ヒロインSAYURI役を射止めたのは『ヒーロー』などで世界を魅了したアジアンビューティー、チャン・ツィイー。SAYURIの強敵役“初桃”に『2046』でチャンと競演した無類のチャイニーズスター、コン・リー、そしてSAYURIを芸者へと導く“豆葉”には、ミスマーレシアの経験もあるミシェル・ヨー。日本の役者も負けてない。『ラスト・サムライ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた渡辺謙を初め、ハリウッド進出後いまや貫禄さえ感じられる工藤由貴、そして日本映画界の大御所、ハリウッド初挑戦となる役所広司や桃井かおり等が、日本の美の演出を強力にバックアップ。どう?いかに豪華か分かるでしょ?

 長崎のハウステンボスも脱帽?というのもLAに巨大なリアル空間、花街セットが出現したんだ。セットには日本から輸入した杉やブラックバンブーを使用。京都に注ぐ冬の光を再現する為に用いられたセットを覆う布は8km四方(!)にも及び、映画史上最大規模。またLAにはない日本の四季折々の美しさを自然に演出するため、桜の木々も彫刻されたそう。日本に精通した外国人にとっては、京都の清水寺や伏見稲荷大社の風景、また壮大なドラマの支え柱、紅に染まる鳥居なんかも楽しむ事ができるだろうね。

華麗なるフィクションの世界
 コン・リーの着物の袖の長さが違う?いやいや『SAYURI』は歴史考証バッチリの大河ドラマじゃない。あくまで芸者、日本を舞台にしたハリウッド映画なんだ。そこにあるのは忠実な歴史的背景をも霞める映画の芸術、究極の映像美。東洋の美の追求か、はたまたオスカー候補となるのか。マーシャル監督の前作『シカゴ』に続く”最も美しい フィクション”と期待される『SAYURI』。ブルース・ウイルスのアクションシーンでもない、インディペンデンスデイの地球滅亡のシーンでもない、ただ目の前に映し出される壮大な物語と美、そう“ニッポンが嫉妬するJapan”を堪能してもらいたい。

Joe Sieder
ロンドン出身。TVプロダクションや映画学校に勤務した経歴あり。現在は九州大学で日本のドキュメンタリー映画を研究中。

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